クロさんを送る記

2025年3月30日、M家のクロさん(ノーマル・オカメインコ 15歳)がなくなった。

クロさん、突然足が動かなくなったので、Mさんが病院に連れて行くと、非情な癌宣告。Mさんは看病のため会社やめようかと思う位、嘆き悲しんだ。しかし、本鳥は足をひきずりながらもごはんを食べているので、月曜日、Mさんはペットカメラを設置して仕事にでかけた。しかし、休み時間にペットカメラをみると、クロさんがもう全く動いていない。Mさんの悲痛なつぶやきをみたM家の沿線にすむ私は、仕事を抜けられない彼女にかわってM家に走った。見ると、クロさんは肩で息をしているが生きてはいる。写真はありし日のクロさん。

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「Mさんが帰って来るまでもたせないと」
私は部屋の温度をあげ見守る。午後になるとクロさん少し元気になり、「抱っこ」と言うので、キャリーからだしてだっこする。同じノーマルオカメ飼いなので、苦しんでいる姿をみると辛くて泣ける。そうこうするうちに、Mさんの鳥ともだちも仕事のあいまをみてクロさんの様子を窺いにくる。結果、その日はMさんが仕事から帰ってくるまでなんとかもった。クロさんはMさんの姿をみると突然元気にご飯を食べ出し、なんとかなるかもしれないと小さな希望がみなにうまれた。

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 クロさんはMさんの鳥友達に愛されていたので、それから二週間、みなが入れ替わりたちかわり、様子をみにいった。クロさんはもともと活発な子だったので、体の自由が効かなくなったことに「意味がわからない」という感じで昔と同じことを繰り返そうとして床におちたりするので目が離せない。 
午前中は大体肩で息をしてかなりヤバイ感じだけど、午後になると少し動き出しご飯も食べてくれる。

この状態でしばらくもつかと皆で思っていたら、2週間経った日曜日、Mさんが朝目覚めると、クロさん「抱っこ」と羽を開く。抱っこしてあげると手の中で静かに息を引き取った。

なんて親孝行な鳥なんだろう。

Mさんが起きるのをまって、1日彼を悼むことのできる日曜日に逝った。ちなみに、ガン宣告をうけたのが満月の日で亡くなったのは新月の日だった。

それからMさんは黒さんの生まれ変わりが戻ってくるようにと、一生懸命夢の中で彼を探している。クロさんがなくなった数日後の夢に、黒さんの入っていたキャリーにちっちゃなディカプリオが入っていたという(ちなみにMさんはディカプリオのファンでもなんでもない)。これはノーマルのクロさんが白く(ルチノー)になって帰ってくるのではないかと私が夢判じをすると、Mさんは前と同じ黒が良いと叫んでいる。

長く一緒に暮らしたコンパニオン・バードの死は本当に辛く悲しい。彼等は多くのものを与えてくれるけれど、亡くなる時には多くのものを奪っていく。M家ではお庭の垂れ桜がさくと、桜の下でシュナウザーのあーちゃん、白さん、黒さんとランチをしていたそうだが、今年の桜の満開に黒さんはまにあわなかった。そこで、桜が満開になった時、黄ちゃん(白さんの後継鳥)とあーちゃんとクロさんの亡骸ととともに彼を悼むガーデンランチを行った。

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 黒さん、ほんとにオレサマで、男前で可愛い鳥だった。安らかに眠ってもいいけど、できるだけ早く戻ってきてくれ。

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 5月は男の子の節句があるので、家のごろう様のために兜と鯉にのった金太郎を出した。この世界のあらゆる男子(とくに鳥)たちに幸いあれ。

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