24年茶トラ猫ルリの闘病記

3月に入り、日が長くなった。家を建て替えた時に植えた蜂須賀桜は今年も花が咲かない。なぜなんだ。淡路島のご先祖の墓所の桜は植えた翌年から花が咲いたのに。

 今年は全体に暖冬と言われているが、一日の寒暖差も一週間の寒暖差もとにかく激しかった。そのせいか今年15才になる茶トラネコのルリが、激しく体調を崩しもうだめかと思った。今回はその闘病記をあげる。しかし辛気臭いので写真はなおってからのルリの写真、さらに元気で可愛いごろう公もいれました。

 忘れもしない今年1月18日の晩、ルリが突然大きな苦しそうな声で「あおーん、あおーん」とないて吐いた。猫は普通によく吐く生き物だが、急いでカリカリを食べた時とか、胃が悪くてペット用草を食べた時であり、この時は、すでに消化がおわりかかったカリカリを吐き、苦しそうに鳴いた点が異常であった。その後連続して一セット二回で計3セット六回吐いた (うち五回は吐くものがなくなって胃液である)。

 そして次の日から寝込んでしまった。カリカリも食べないし、水も飲まない。発症した日から雨が続いていたので、低気圧が原因で雨がやめばいつものように食事を始めるかと期待したたが、毎日カリカリも水もほとんど減らない。

 あの猫まっしぐらチュールをひねりだして器にいれても無視。スープタイプのモンプチのスープをのんだ時には明日は具も食べてくれるかと一瞬期待したが、朝みても具は残されたまま。今日こそは食べ始めるかと思って猫部屋の扉を開けても毎朝その期待は裏切られる。天気が回復しても猫は回復しない。

 毎日毎日、彼女が口をつけなかったカリカリやウェットタイプのごはん、チュールなどを片付けて新しいのにかえるたび、気持ち幾何級数的に暗くなる。

 食べないので●ンチをしないが、不思議なことに水もほとんどへってないのにおしっこだけは毎日二回はしていた。猫は最後は腎不全で死ぬことが多いので、この間にも腎不全が進んでいるのではないかと心配になる。

1月26日、やはり食べていない。しかしふと外を見ると見知らぬサバ猫がキッチンの外の暗闇にいて「にゃーにゃー」私の顔をみてなく。おそらくは、捨てるにしのびないるりのごはんを玄関の脇においていたのを、この猫が食べていたのだろう。

 Yさんに「このサバ猫、『ルリはもう死ぬから私を飼って』っていっているのかな」と弱気になって電話すると
Yさん「餌はゴミに捨てなさい! サバ猫は家にあげちゃだめよ。もしそうなったら新しい猫でなくあーちゃんひきとってよ。」あーちゃんとは猫がいるのでとYさんにおしつけた保護・金剛インコの名である。冷たい、鬼や。

翌日、思い立って、飲み水を少し温めてだしてみると口をつけた。いくら温めても冬なのですぐに冷たくなるので、るりがこたつからでてくる時をねらって水を温めて出す。水だけでも飲んでくれると、すごく嬉しい。毎日ごはんを食べてくれていた時は本当に幸せだったのになぜそれに気づかなかったのか。人間は本当に「普通」に感謝しないクソな生き物だ。

 以下日記より。

1月28日
今朝も食べていない。しかも水は夜までのまなかった。いつも猫たつからでてくる時間にもでてこない。もう10日たつ。雲が多いが雨がふるほどではない。なぜ治らないのだろうか。何度もチュールを指につけて口につっこんで食べさせようとしたが、ものすごく怒る。それが呼び水になって食事を始めることもない。不安で仕方なく夜中に何度も目が覚める。

1月29日
朝、水もごはんも食べてない。朝一の9:00に動物病院に行き、輸液してもらう(るりは治療を全力で拒否する猫なので口からいれるものはみな吐くのでこれ以外仕方なし)。「猫が水だけで何日生きられるか」、で検索すると、だいたい「亡くなる前、二週間から一ヶ月食事をせずにあの世にいく」、とある。とあるブログでは20才になった猫は目が閉じられなくても死にきれなくて飼い主がねをあげていた。もともと狩猟動物で空腹に強いから、末期が長いのか。私はるりの死の苦しみを最後まで見ていられるであろうか。
 新しい猫草を買ってきたらそれは食べた。

1月30日
朝、夜のうちに二回おしっこ。食べてない。朝ドラ(ブギウギ)で主人公の婚約者が死にかけていて、そのあとはじまった「火野正平のとうちゃこ」でも依頼主がステージ4で、この日私のまわりには死の予感が満ちあふれていた。

 明日は日帰りで淡路島にいく予定であった。日帰りだし、私がいてもいなくても食事しないのだから、行くかどうかギリギリまで迷った。そこでGOとSTOPの選択肢を書いた紙でチベットのタクディル占いをしたらSTOPがでたので、淡路行きはキャンセルした。

 発症以来ほぼ二週間たつので、覚悟を決めて泣きながら遺影用の写真をとり、形見分けについて考える(るりは保護猫三姉妹の一匹なで姉妹への形見分け)。虚しい。息ができない。何も手につかない。つらいつらい。明日病院が休みなので駄目元でまた病院につれていく(ちなみに輸液は点滴ではないので水分がとれるだけで栄養はとれない)。

  この動物病院は先代のるりの頃から通っていて、当代のるりも食欲不振のために何度もお世話になっている。輸液のあと先生が、「新しくでた耳につけるお薬がありますが、やってみますか」と聞かれたので、お願いする。口からいれたものは吐くが耳にぬるのなら血管に薬が入る。暗い気持ちで家にもどりキャリーをあけると、よろよろでてきて、なんとカリカリを少しだけ食べ始めた。そして21時には何とピアノの上までかけあがった。なんじゃこりゃ。 それを見て嬉しくて泣けた。

Yさんに電話すると「それ覚醒剤的な麻薬じゃないの? 一瞬元気になっても体に負担かかるから結局悪くなるんじゃない」と言われ、また心配になる。
 
1月31日
 朝、なんと食事も少し食べている。お医者さんはこの薬の効き目は3日間といっていたので3日たっても食欲が続けば自力更生の目があるっ。ネットを「猫 / 耳に塗る / 食欲増進剤」で検索するとミラタズという薬がひっかかった。おもな成分はミルタザピンでようは抗うつ剤の成分。心配した副作用は一応それほどなさそう。

 しかし、うつ病のしりあいは「抗うつ剤なんてきかないよ」という、みな、少しは私が希望をもてるコメントをしてほしい。

 ルリはこの日から少しずつ食べる量が増えていき、雪のふった日は一日食べないという日もあったが、ほぼ薄紙をはぐように復活していった。しかし、「うんこダッシュ」をしない、など病気前とは異なる部分はあった。しかし、2月13日 ルリが走って2階にあがる姿をみて、もう大丈夫と思い、記録をとるのをやめた(食事量、ふんちとおしっこ量、こたつからでる時間などを記録していた)。
今回もなんとかのりきった。
 ルリには悪いけど、本当に死ぬ時は急死してほしい。もうこれ何度もあったら飼い主の身がもたない。