アショーカ王伝(其の壱)
『アショカ王伝』(法蔵館) より
アショーカ王はインドで最初の統一王朝となったマウリヤ朝最盛期の王です。アショーカ王伝は「残忍アショーカ」と呼ばれた外道な前半生と、仏教に帰依した後の「法のアショーカ」と呼ばれる聖者としての後半生が対照的に描かれています。これはアショーカ王という一個人の伝記を通じて、人の心の度し難さと、それが仏教によって矯正される過程を普遍的に描いたものとも言えましょう。仏教文学にはなべてこのような構成が多いですよね。
CAST/ アショーカ王 るり |
CONTENTS/ |
☆*"゜外道篇
(1) 即位
マウリヤ王朝のアショーカ王はお肌があまりおきれいではなかったので、父王に疎まれ、即位の後には家臣にも疎まれ、妃たちにも疎まれ、そのたびに傷ついて周りを殺しまくりました。そのため、彼は「残忍アショーカ」と呼ばれていました。
(1) 何かと不満の多いアショカ王近影 | (2) 王宮 (時代考証は無視) |
(2) ギリカ登場
あまりにも殺しまくったので、家臣の一人が「王が自ら手を下すと物議をかもします。誰かに命令して殺させてください」と言いました。そこで、アショーカ王は国一番の外道ギリカを召しだしました。そして、外側は美しいものの、それにつられてうっかり中に入ると殺される「楽しい地獄」を建設し、ギリカをその番人としました。
(1) 希代の外道ギリカ近影 | (2) 「楽しい地獄」内部透視図 |