むか〜し、むかし、観音様は阿弥陀様の前で、「この世にあるすべての命あるもの (有情) を仏の境地に導くまでは、涅槃にはいりません。もし一瞬でも自分の安楽を求める気持ちがおきたなら、この身が千々に砕けんことを」と誓願をたてました。
(2) 救済の日々
それから、観音様は夜もなく昼もなく人々を救い続けました。ある日「これだけ働いたのだから、もうちょっとの人しか残っておるまい」と岡の上から世間をみわたしました。
(3) 挫折
その観音さまの眼に入ったのは、信じられないくらいたくさんの人々が救いを求めている姿でした。
(4) 一瞬の気のゆるみ
それを見た、観音様の心に一瞬、もう救済をやめて涅槃にはいろうという気持ちが生じました。
その瞬間です。
(5) ちゅど〜ん
いにしえの誓願によって、観音様の体は五尺玉の花火のように砕けちってしまいました。
(6) 十一面に
それを見ていた阿弥陀様は千々に砕け散った観音様の体を集めて、十一の顔になおし、観音様が時間・空間をこえて人々を救済できるようにしました。
十一面目の観音様のお顔が、阿弥陀様なのに気がついてくれた?
これは、観音様が阿弥陀様の愛と哀れみ(慈悲)の人格化した仏であることを示しているのです。