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夏休み特別企画☆お金のない人のための

東京チベット紀行(其ノ弐)


(2) 河口慧海の寺、五百羅漢寺へ

 安養院をでたら、時間の許す人は目黒不動にお参りしてみよう。日本にさつまいもをはじめて導入した青木昆陽先生のお墓とかあるぞ! お参りが終わったら不動さんの塀沿いに左手にすすんで黄檗宗の天恩山五百羅漢寺に行こう。本堂につづく回廊には松雲禅師の手になる五百羅漢さんがみっちりつまっています。本堂は巨大な仏様のまわりを羅漢さんがとりまくなか、仏様のなま説法がきけます (テープで原始仏教経典を流している)。本堂に座ってこれを聞いていると、お釈迦様の在世時にいるような不思議な気持ちになります。この寺は日本人としてはじめてチベットに入国した河口慧海師が住職をつとめられていた寺です。慧海は堺の人ですが、上京して本寺に滞在しながら哲学館 (現在の東洋大学) で仏教を学び、仏教界改革の志にもえて本寺で出家し、何度も僧籍返上とかしながらも、チベットより帰国後にはこの寺の住職をつとめています。

☆ 五百羅漢寺本堂               ☆ 羅漢堂 

 五百羅漢寺をでたら左手に向かい国道を横断し、葛飾北斎の江戸百景に描かれたことでも有名な目黒の太鼓橋をわたって (今はただのドブ川となった) 目黒川をこえたら、目黒雅叙園でお茶しよう。ここは日本最初の総合宴会場で設立当初は昭和の竜宮城とうたわれ、よく言えば絢爛豪華、悪く言えば成金趣味な室内装飾で有名でした。バブルの頃にビル化したものの、宴会場をかざるさまざまな品々は天井の格子天井や廊下の両壁の装飾として今も目にすることができます。圧巻は雅叙園美術館に向かうエレベーター。わたしはこのようなエレベーターを他に知らない。どでかくて漆塗りで螺鈿装飾があって、豪華な棺桶にのっているかのような居心地悪さを感じられます。


(3)  de facto standard 仏像を擁する大円寺へ

 つぎの観光スポットは雅叙園のとなりにある名刹大円寺です。ここは江戸時代大火の火もととなって寺域をめしあげられたため、こじんまりとしたたたずまいではありますが、有名な国宝の釈迦像があります。この釈迦像は、京都の嵯峨野は清涼寺の国宝釈迦像の第一号コピーであり、この嵯峨野の釈迦像は10世紀に中国大陸にわたった「ちょう然」という僧が当時の中国の都にあった釈迦像をコピーしてきたものです。そして、この中国の釈迦像とは(もちろん信仰の世界の話とはいえ) 生身のお釈迦様の姿を見て作られたたといわれ、いわば仏像のスタンダードとして知られるものなのです。したがって、この仏像は日本のみならず、アジア全域でコピーがつくられて、栴檀釈迦像様式として知られています。中国にある本体の釈迦像は義和団事件により失われ、現在は北京のチベット仏教寺院雍和宮にその模刻が飾られています 。


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