05年冬 コミック・マーケット

「ついに大衆化、吉か凶か・・・の巻

(2005年12月30日 in 東京ビックサイト)

05年、今年はオタク文化の大衆化元年であった。2ちゃんねるの掲示板をそのまま出版した『電車男』が映画化・ドラマ化してヒットしたおかげで、

コスプレ、フィギュアといったオタク文化

が日の当たる世界へとどつきだされてしまったからである。思えばこの予兆は去年よりあった。コスプレオタクの世界をちゃかした『恋の門』(松田龍平・酒井若菜主演)、ロリータファッションを扱った『下妻物語』(深田恭子・土屋アンナ主演)がなぜか両方ともウケた。このことにより、オタク文化はじわりじわりと普通人の世界へと触手をのばしはじめ、今年アキバ系のブレイクとともに、一気に市民権を得てしまったのである。そして、同人祭り以外ではとても棲息は不可能と思われた、メイド、ロリータ、ゴスロリファッションはなんかいろんなところで目に付くようになった。

これでいいのかニッポン。大丈夫なのかニッポン

と、サンケイ新聞みたいなことを言ってもしょうがないので、

会場にたつ異常なホコリによって「天使の階段」が見えた。狭霧家センセはこれを見て「あの光にのってメイドが天に昇るんですよ」(笑)。

 会場についた私はこのページ作成のためさっそくメイド服の二人連れの女の子に声をかけてみる(何やってんだか)。
「エヘヘ、すいません。写真とらせてくれませんかあ? ホムペにだしたいんどすけど。」(男だったら変質者だよ)
女の子「えー、私たちは良いんですけどお。ここ(サークルの並ぶ通路にいた)では写真撮影は禁止されているんじゃないですかあ。コスプレ広場にいけば、心おきなくとれますよ」
じつはコスプレ広場は小鳥サークルのある東5ホールからものごっつ遠い西ホールにある。
「だからあんたたちに声かけたんじゃないか、人通りも少ないんだから、融通きかせてくれたっていいじゃん」と心の声はいうものの、無理矢理写真をとって「この人に盗撮されましたあ」なんてコミケのスタッフに突き出された日には、なまじっか定食もとい定職があるだけに、しゃれにならん。そこで、撮影は諦めて、取材に変更する。

「メイド服は自分でつくったんですか?」
女の子「そういう場合もあるんですけど、今回は買いました」
「えー、どこで売ってるの?」
女の子「ドンキとかトウキュウハンズです」
「へー市販で買えるんだ。で、あなたたちいくつ?」
女の子たち「えー。」(答えるのいやそう。結構年いってるな)
「いくつまでメイド服着られると思う?」
女の子コミケに参加し続ける限り
「アッパレじゃ。まあ、がんばってくれたまえ」(さらにオヤジノリ)

 そして、まりりんのサークルへ。今回はまりりんの新刊は『あいさつの王様』(500円)である。題名の由来は「おやすみ」しか言わないのがポリシーだったまりりんがついに「おはよう」と口にしたこと。十七才になってもいまだ語彙の増え続けるまりりん、すごいぞまりりん、ずんどこ進化してくれ。また、商業本の総集編パート2『まりまんがつー』(800円)もでた。ちょうど一年前にでた『まりまんが』の続編である。商業本をもっていない方、もっていてもまりちゃんだけをまとめたて読みたい方、オススメどす。
 そして、お待ちかね、まりりんとれたて情〜報〜。
 最近のまりりんは、もぐると自分の体の線がでるということで、やわらかい紙はお嫌いとのこと。少々堅めの紙を所望されるものの、Flets 光のチラシはかたすぎるとのことで、JUSCOのチラシにいきついた模様。ちなみに、我が家のごろうは地域の百貨店ダイシン百貨店のチラシフェチであることからも、オカメインコはチラシのガラや堅さにも一家言あることがわかる。 また、「最近ごろうが春モードで猫(餓鬼道)を襲って大変」との相談をもちかけると、「春モードの時はしっぽのつけね(羽脂がでるところ)がいつもと違う匂になりますよ。そうなったら、水浴びをさせると落ち着きますよ」と教えていただく。ごろうちゃんはよほど興がのらないと水浴びをしないので、させるとすると強制水浴びとなるな。

 センセのサークルのスタッフのおりぼんさんは、今日はしっとりした紬柄の和服。
「成人式に女の子が着ているごてごての振り袖は、何か着物に着られているって感じだけど、おりぼんさんは上品に着こなしてるよねえ」と私がいうと
「暑い日にこの和服でサングラスかけて車の運転してたら、ヤクザの姉御に見られたのか、後ろの車が車間距離をとってました」と言う。
  おりぼんさんは目鼻立ちがはっきりした美人なのでそういう誤解をうけることもあるだろう。ちなみに、けっしてあっさりした顔とはいえない私も、大学の謝恩会で髪をアップにして振り袖をきたら、クラブのチイママみたいと言われた(今なら年齢的にママに昇格だな。嬉しくもないが)。

 つぎに、センセにつれられて、貴石に魅入られた方のサークル、MOMO EXTRAにおじゃまする。そこではイエロー・トパーズで卵に羽をあしらったかわいい手製のペンダントを入手。わずか千円で一点物が手に入るのがコミケの醍醐味である。

 さらに、インコサークルで、粘土製のオカメインコ・パフェを買う。かわいい。ここのサークルでこのようなちっちゃなグッズを買うと、金魚すくいの袋に、水草をあしらった緑色のクッション材といっしょにいれて持たせてくれる。なかなかセンスがいい。

 一年が終わる。来年はオタク文化はもっと大衆化が進むのだろうか。メジャーになればなるほど、世間の見る目は厳しくなり、要求のハードルも高くなる。ゆるい人たちの集まるこの世界が世間の厳しい規制にさらされることによって、萎縮しないだろうか。このブームが吉とでるか凶とでるか。それはオタクの神のみぞしる。