03年冬コミ=レポート

「盗撮女に間違われて」の巻

(2004年12月29〜30日 in 東京ビックサイト)

  今年の冬コミはぎりぎりまで参加できるかどうか微妙であった。17才になる我が家の愛猫るりが、五月くらいから徐々によわってきて、そして、約一月ほど前の十一月二十六日にとつぜん何かの発作をおこし、右目があかなくなり、うつらうつらしはじめた。もちろん何度も獣医さんにいき、レントゲン、血液検査、インターフェロン注射、抗生物質投与、カリウム輸液もしたが、少しよくなってもすぐ悪くなり、その悪くなる時は前よりもいっそう悪くなるという状態で、とくに十二月二十六日以降はもう寝たきり状態になっていた。心やさしい狭霧家嬢は、「るりちゃんのそばにいてあげて」とのことであったが、悪いなかにも安定がみられたこととダンナがついていてくれていることもあり、ぎりぎりラッシュで参加をきめた。

 そういうわけで、コミケのカタログを買うヒマもなく、ただ狭霧家嬢が教えてくれたサークルの住所シの51bだけをたよりに広大なビックサイトをさまよう。そこらにうじゃうじゃいるスタッフにきけばすぐなのだが、カタログをかっていない後ろ暗さから遠慮されてしまう。まず、東館にいくとどうもアルファベットで住所をふっているので、これは違うだろうと西館にいくと、こっちはひらがな住所で、カタカナ住所がない。そこでようやっと恥を忍んでスタッフにカタカナのシはどこですかと聞くと、東館ですとのこと。そういえば東館にはホールは二つあった。私が確認したのはそのうち東館の一部のホールだけだったのだ。そこで、はやく東に戻らねばと思っても、そううまくいかないのが、コミケの掟。人混みを整理するために至るところでドアを封鎖し、エスカレータに乗ろうにも、そこにいくまで回虫のようにくねった人混み整理ロープに従わねばならない。そうこうするうちに、東館どころか西館の三階にでてしまった。もうやけくそで、そこいらにある壁のポスターとか企業ブースとかを、このページをつくるための資料とばかりに、デジカメでとろうとすると、スタッフがよってきて、

スタッフ「すいません、ここ写真撮影禁止されているんです」
「だって人間とってませんよ。そのうちっぱなしのコンクリート壁の張り紙とってるだけじゃないすか」
スタッフ「ビックサイトが建物の撮影をいやがるので、肖像権とかで。」
「肖像権ってのは、人間のためのものですよね。何か禁止する理由でもあるんですか」
スタッフ「よくわかりませんが、とにかく撮影はやめてください」

といわれるので、仕方なく、やめておく。そこでようやっと東館につくとこのあたりには撮影禁止の貼りふだはない。おかしい。なぜ、あの時だけあんなうるさく撮影をとめられたのか。センセのサークルについたら早速情報収集せねば。そのまえにセンセのサークルの位置をつきとめねば。とうろうろしていたら、これまた私の学生くらいの男の子が

男の子「どちからお探しですか」
「シの51bなんですが、どのあたりでしょうか」
男の子「ああ、その口からはいって、あそこにみえるホと書いている柱の下の壁際ですよ」
「これはご親切に」
男の子「いいえ、場所が分からないと困りますからね」

ええ話や。そしてようやっとその男の子のおかげでセンセのサークルにたどりつき、これまでの経緯を話すと、

今回、お客さんにサービスで配られたまりりんはがき←

狭霧家センセ「西館が撮影禁止なのは、コスプレの控え室があり、盗撮が多いからですよ。」
「だって私は一応女よ。何が悲しくて女の着替えを盗撮せにゃならんわけ? しかも私が撮っていたのはただのコンクリの壁よ。」
狭霧家センセ「盗撮魔の多くは女性なんですよ。自分でおトイレや更衣室にもぐりこんで、盗撮した画像を業者にうるんですよ。」
「ってことは、私はいかにも盗撮しそうな女に見られたわけ?」
狭霧家センセ「そんなこといってませんってば」
「ちくしょおおおおお〜っ。あっ、でも親切な男の子がサークルの位置を教えてくれて助かった。みんなオ○クで他人に関心ないように見えるのに」
狭霧家センセ「オ○クは強い人にはきれまくるけど、弱って困っている人にはやさしいんですよ。オ○クは反社会的なように言われるけど、昨日おりぼんさんが落としたケータイはきちんと遺失物のところに届けられていたし。盗撮やるような人も本来サークルに買いに来ている人じゃなくて外からきているんですよ。」
「じゃあ、コミケ参加者からみた私像って、弱って困っている、そのうえ盗撮しそうな外部からきた物体Xってわけ?」
狭霧家センセ「そんなこといってませんってば!!」

前ふりがながくなったが、まりりんの新刊は『歌う王様』(600円)である。まりぐるみ、まりりんエコバッグなど以前からのラインナップも安定供給されるようになってきている。狭霧家先生はお風邪をひいておられて、30日は午後一時半からの出御であった。まりりんは寒くなってからというものの、首もとにとまって甘えてくれるので、とても幸せだそうな。しかし、コミケで先生が家を空けようとすると、普段なら「ぴよ(いかないで)」となくところが、狭霧家嬢の御母堂と遊んでいらしたので、まったくひきとめてもらえなかったそうだ。そこでセンセはわざわざきびすをかえしてまりりんの機嫌をとったのに、やはりひきとめてはもらえなかったそうだ。まあ、そんなこともあるさ。

 この他にはインコ堂の新刊『別冊インコジャングル』(800円)を求め、そのびんと暮らす十羽のオカメの話を堪能する。