03年夏コミ=レポート

「冷夏の宴」の巻

(2003年8月15〜17日 in 東京ビックサイト)

今年の夏は寒い。確かこんな夏が前にもあった。母のなくなったあの1993年の夏である。わたしのどん底の精神状態を反映したかのようにあの夏は記録的な冷夏であった。思えばあれからちょうど十年。

 というわけで、今年の夏コミは夏とも思えないさむーい雨が三日間にわたり降り続く中行われた。

 普通なら外にでるのもはばかられる土砂降りの中、それを意に介すことなく今年もオタクが有明ビックサイトに集結する。

←雨のビックサイト。人ゴミはかわらず。

おりぼんさん、流行の背中みせ。粋だねえ。
 この天気に一つだけいいことがあるとしたら、夏コミ名物、男波がかもしだすくっさい臭いが少しは緩和されることであろう。

 一抹の期待を抱きつつ、りんかい線の国際展示場駅におりたったワタシの鼻にとびこんできたのは、いつもにもましてキョーレツな悪臭であった。はやばやと家路につくオタクどもがホームに列をつくっていたのだが、それが臭う臭う。仁王様である(すいません。オヤジギャグです)。

 結局、いくら外気温が低くてもオタクの人いきれで室内温度はあがり、雨なので湿度が高まる分、臭いもいつも以上にひどくなるわけだ。これは会場はもっとひどいだろうと覚悟しつつビッグサイトに向かう。

 すでにかなり遅い時間であるため、はやめに家路につくオタクの群を真正面から大量に拝むことになる。それにしても今日のオタクどもはすごい。基本形は、巨漢デブが前後ろにデイバッグをしょい、カートをひくというもので、そのほかにも、矢の刺さったリンゴを頭にのせた男(ウイリアムテルか?)、フリフリアイドルルックをきている女装男、不細工なゴシロリなどが次々と目の前をよぎるので、デンパな気分になってくる。


↓ まりりんかみ跡もなまなましい先生の指
 ようやっとまりりんのスペースに到着して狭霧家嬢と懇談。先生によると今回は初日がジャンプの日、二日目がアニパロ、三日目がエロの日と配分されたため、男波のできる三日目、すなわち本日が一番クサくなったのだという。コミケにいくために先生が家を空けることを察したまりりんが、センセの指にかみついてあけた穴を記念に撮影させてもらう。今年の北海道は東京よりさらに寒く、まりりんは「もう秋ね」とはやくも換羽をはじめたそう。ごろうもこの夏二度目の換羽がはじめたので、異常気象はいろいろなところに影響を及ぼしている。

 というわけで、まりりんはばりばりに元気なのだが、先生の方はあまり元気ではない。お盆の直前に右目の白目に出血がでて、心配なので病院に行ったところ、ガンマGTPが218もあったとのこと。先生によれば、前にGTPがあがった時は過労といわれ、 さらに右目の不調も右手に負担を掛けてマンガを書いていることが原因のようなのでいずれも仕事のやりすぎではないかという。先生、ご自愛ください。

 では、まりりんの新刊情報。前回の『遊びの王様』についで、今回は『威嚇の王様』(600円)がでて、新シリーズ名が「王様シリーズ」で確定した。グッズは、まりりん柄CD-ROM(250円)。わたしはこのCD-ROMにごろうちゃんのデジカメ映像を焼こうと思う。

 さて、今年のアフターコミケには行く場所がある。大江戸温泉物語?ノンノン。東京デックスビーチ?ノンノン。なんてったって、今年のお台場は、北朝鮮工作船の一般公開でしょう。ご存じ平成13年12月22日に、海上保安庁の巡視船との銃撃戦の末に自爆して沈んだあの北朝鮮の工作船である。

 いやこれはすごかった。覚醒剤の取引に使われていたという小さな工作船は機銃からロケットランチャーまで重装備。目の前の銃器類は007シュリで描かれていたような世界は架空のことではないことを示している。

 展示会場をでるとビアガーデンがあり、そこに設置された小さなステージで、無名のアイドルが営業活動をしていた。かわいそうに、雨なのでビアガーデンにはお客さんは四人しかいない(ホント)。

 なのに、そぼふる雨の中で彼女は一生懸命歌う。

 そのとき突然、工作船とともに自爆してはてた北朝鮮の十人の若者のことを思った。今度生まれる時にはもっと平和な国に生まれくればいい。生まれ変わったら、覚醒剤つんだ偽装漁船なんかじゃなく、ほんものの漁船にのって、アイドルの歌でも聴いてほしい。

 寒い夏はもの思う夏である。

←人のいないビアガーデンで、哀しい営業を行う無名のアイドル。