コミックシティ=レポート

〜お台場に潜む罠〜の巻

(2002年5月5〜6日 in 東京ビックサイト)

 さて、今年もやってきたスーパー=コミックシティ! 今回は、このスーコミならびに冬と夏のコミックマーケットの会場となるビッグサイトがたたずむ臨海副都心について少し話したい。

 同人誌即売会にあこがれ、一度は来てみたいと思っているそこのアナタ! この臨海副都心の影(おおげさ)を知らないと大変な目にあいやすぜ!

 いまは昔のバブル期に、数多くの外国企業が東京にオフィスを持ちたがっていた。しかし、東京には「空」もとい「土地」がない。そこで、都は東京湾を埋め立てて新しい土地を作ろうと臨海副都心構想を打ち出した。しかし、そのうちバブルはぱっち〜んと見事にはじけ、ご存じの通りの大不況。埋め立てが終わっても、進出を予定していた企業はのきなみ辞退。景気づけに開くつもりだった無意味イベント都市博も中止。その結果、日本経済の中心地になるはずだった臨海副都心は空き地のめだつさむいスタートとなった。

 

 そして今、臨海副都心はなぜかレジャータウンと化している

 アクアシティ、デックス東京ビーチ、舟の博物館、日本科学未来館、東京港館、有明コロシアム、フジテレビ、ビーナスフォート、パレットタウン、水の科学館、ジョイポリス、劇団四季、ついでに住宅展示場(笑)と名前からして、やっすい観光地が目白押し。安いのは名前だけではない。ビーナスフォートの写真を見てもらえば分かると思うけど、建て付けも明らかに仮設の作り。万博のパビリオンみたいに一定の期間がすぎたら取り壊すようなああいうね。万が一経済が回復したら、これらの施設をどかしてオフィスビルとか立てるつもりなんだろうけど。そして、言うまでもないことだが、これらの施設の間には広大な空き地が横たわる。

 この埋め立て地のスカタンさは、そのあさましい捕らぬ狸の皮算用ぶりにとどまらない。特筆すべきは、交通事情の悪さである。臨海副都心の交通地図を見て頂きたい。埋め立て地と本土を結ぶ公共機関は、ゆりかもめ(新橋発の赤い路線)と、りんかい線(天王洲アイル発の紺色の線)とバスと舟(笑)だ。ゆりかもめりんかい線も、まだ全線が開通しておらず盲腸状態。こんなんだから、東京からビッグサイトに向かう人は、ほぼ全部が新橋発のゆりかもめに乗ることになる。

 しかし、このゆりかもめ。新橋とビッグサイトは直線距離ならすぐなのに、埋め立て地の施設をめぐって頼みもしないのに大回りをしてくれる。こんな概念化した路線図ではよく分からないだろうが、実際の路線はもっと回虫のように(キタナイな)グニグニしており、テレコムセンターのあたりにさしかかると、直角に曲がってもときた方向に戻るので「オイオイオイオイ」という気持ちになる。

 その上スピードが遅い遅い。並みの神経だと時間と金銭のロス感覚にたえられない。

 そこで、これに心を揺らさないためのヒケツを教えよう。

新橋から先はもう遊園地、ゆりかもめおさるの電車だと思うことだ。

 さて、もう一つ重要な教えをたれよう。同人誌即売会が行われるのは、ゴールデンウィーク、お盆、暮れなど人出がある時期。とうぜんのことながら、臨海副都心の他のレジャー施設も混み合うため、おさるの電車も、山手線の新橋駅でも、切符を買うためには長い列に並ぶことになる。そんな時、JRの若い車掌が四人くらいで拡声器つかって

 スイカ使えば、券売機に並ばなくても、ワンタッチで入場できますよ〜」

 とか言っているかもしれない。

 しかし、このオヤジギャグまるだし(「スイスイカード」の略。なんとかならんか)のJR商品スイカには、大いなる落とし穴が!かくいうわたしも昨日これを2000円で買った。すると駅員さんはカードとともにティッシュとボールペンをくれた。「プリペイドカードを買ったくらいで、おまけをくれるとは親切なことで」と思った私はまだ世間を知らなかった。

 このカード実は2000円でも、1500円分しか切符が買えないのだ。残り500円はカード代で、使用後にカードを返せば戻ってくるという。しかし、そのことについてカード買った折、駅員からは何の注意もなかった。わたしは友達にこのカードの実態を聞くまでは単にプリペイドカードだと思っていたので、使い終わったらポイ捨てするところだった。それは、500円をゴミ箱に捨てることになるっちゅーに。もー。そのうえ、このスイカは都心近郊のJRでしか使えない。臨海副都心に遊びにくる人間がほとんど地方からの人であることを考えた場合、JRの商法はあまりにもアコギといえよう。

 このように、臨海副都心は生き馬の目を抜くような東京の中でもとくに疲れる場所。スーコミの会場ビッグサイトはこのゾーンの奥座敷に建っている。

 それでは、お待ちかね、スーパーコミック情報〜。今回、まりりんの新刊は『「あのね」のカタチ』(タイトルをクリックすれば書評にとびます)。今回は、ワタル本『ひらひらと』、三巻目に入った犬夜叉本『デモノロジー參』と新刊三冊の絶好調。

 わたしは残念ながらワタルは見たことないのでわからんが、犬夜叉はアニメで見ているので大体の人間関係はわかる。その上でセンセの犬夜叉本を読んでみたところ、その解釈の深さに感心してしまった。登場人物を安易にくっけたりせずに、それぞれの心理を掘り下げてるところがいい。残念ながら今回先生の出御はなかったが、顔なじみとなった売り子さんたちと楽しいひとときを過ごす。

 そこでふと気付く。わたくしもいつのまにかいきつけのサークルとかできて、話す内容もオタクくさくなってきたなと。

 喜ぶべきことか、悲しむべきことか。