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ポタラ宮〜華麗なる東洋の法王庁〜


ごろうちゃん:「ポタラ宮は、東洋の法王庁、垂直ベルサイユと称えられる美しい宮殿で、歴代ダライラマのお住まいでありました。
 今の建物は17世紀にダライラマ五世が建てたものだけど、この場所は古代チベットのソンツェンガムポ王が宮殿を建立した場所だともいわれているの。 どうしてわざわざそこに建てたかっていうと、それは、チベット史を考えると分かってくるよ。

 ソンツェンガムポ王の開いた王朝は10世紀に終焉し、 そのあとは地方ごとに宗派や氏族が乱立してチベットはバラバラになっていた。そんな乱世のあとに即位したダライラマ五世は、この地に宮殿を作ることで、古代チベットのようにチベットを統一したいという願いをこめたんだ (そしてそれは実現したよ)。この他にもポタラ宮の部屋の一つ一つには数々の「祈り」が込められている。
 その一部を紹介すると、チベットの哲学界の統一という祈願は一階のラムリム=ラカンに、神様の世界の統一という祈願はリクジン=ラカンにこめられている。

 しかし、何よりもこの宮殿の性格を物語っているのは、このポタラという名前だと思う。 観音菩薩はチベットの守護尊としてチベットの人々を開化し安寧にすると信じられてきた菩薩様なんだけど、 ポタラはこの観音菩薩のお住まいの地の名前なの。
 実はこの地は、ソンツェンガムポ王よりはるか以前に、観音様がチベットを開化するために降り立った地であったともいわれ、実は、その後ここに宮殿を営んだソンツェンガムポ王も、その転生者である歴代ダライラマも、チベットを開化した人々はみんな観音様の化身と信じられてきたんだ。

 ポタラの最高処には、ソンツェンガムポ王にささげられた堂や、観音堂や、歴代ダライラマの遺骸をおさめた仏塔がおかれているけど、 これらはチベットの民を古代から現代にいたるまで観音様が見守ってきたということを示すためにとられた構造なんだ。
 また、この宮殿に所蔵されている仏画や仏像は、ダライラマ五世がこのポタラ宮の赤宮の部屋で瞑想に入って数々のヴィジョンを得て、それを絵師に書かせたり 集めたりしたものなんだ。これがまた、ポタラ宮のチベット守護力をアップさせているんだ。」


ポタラ宮のチョー簡単でもタメになるガイド

(* 各堂は北側の入り口から入って時計回りに回った順に紹介されています。)

赤宮第一階〜二階

(1) トゥンラプラカン ('khrung rab lha khang) = 転生系譜堂。ダライラマの前世者たちに捧げられた堂であり、本尊はシャカムニ仏像とダライラマ五世像である。

(2) ラムリム=ラカン(lam rim lha khang) = 菩提道次第堂。アティシャ (982-1054) が創始しツォンカパ (1357-1419) が完成させた「覚りに至るための修行カリキュラム」(ラムリム=菩提道次第) を、相承した聖者たちをまつった堂。この部屋も二階に吹き抜けている。

(3) リクジン=カン(rig 'dzin lha khang) = 持明者堂。パドマサンバヴァ (8世紀) がチベットに伝えた密教の伝統を相承した聖者 (リクジン=持明者) たちに捧げられた堂。二階に吹き抜けている。

(4) セルドン=ザムリンゲンチ=カン(gser sdong 'dzam gling rgyan gcig khang) = ダライラマ五世仏塔。 ダライラマ五世の遺骸をおさめた仏塔ザムリンゲンチク(この世界の唯一の飾りという意味) に捧げられた堂。仏塔があまりに大きいので、この部屋は四階までふきぬけている。 

(5) ツォクチェンヌプ (tshogs chen nub) = 大集会殿。以上の四部屋の真ん中にある大広間。儀式の際集会殿として用いられた。

赤宮第三階

(6) チューゲルドゥププク(chos rygal sgrub sbug) = 法王禅定洞。ポタラ宮の礎を築いたとされる7世紀のチベット王ソンツェンガムポ法王 (チューゲル) に捧げられた堂。王以外に王妃、子息、大臣などの像もあるため、古代チベット史をヴィジュアルに学ぶことができる。

(7) クンサンジェード=カン(kun bzang rjes 'gro khang) この部屋の情報を求む!

(8) リマ=ラカン(li ma lha khang)= 鋳造仏像殿。歴代ダライラマが収集したものや、モンゴル、満州、インド、ネパールの王侯諸氏から献呈された金銅仏ををまつる殿。

(9) ドゥコル=ラカン(dus 'khor lha khang) = 時輪曼陀羅殿。『時輪タントラ』の立体マンダラを祀る堂。このマンダラはライラマ五世の摂政サンゲギャムツォがジョナン派の寺から召し上げたもの。

(10) トゥプワン=ラカン(thub dbang lha khang) = シャカムニ仏殿。ダライラマ五世の摂政サンゲギャムツォからダライラマ八世の時代にかけて建設された部屋。シャカムニと八大菩薩に捧げられた堂。この他にもダライラマ七世の王座や薬師八仏の仏画がある。

(11) ツェパー=ラカン(tshe dpag med lha khang) = 無量寿仏殿。ダライラマ八世が建設した部屋で無量寿仏に捧げられた堂。ダライラマ八世の王座がある。

赤宮第四階

(12) パクパ=ラカン ('phags pa lha khang) = 聖観音殿。ソンツェンガンポ王の持念仏といわれる奇跡の自然成観音像をまつる。小祀堂ながらポタラ宮の中核部分にあたる。

(13) セルドン=ゲレクシバル=カン(gser sdong dge legs gzi 'bar khang) = ダライラマ八世仏塔殿

(14) セルドン=サスムクンガ=カン(gser sdong sa gsum kun dga' khang) = ダライラマ九世仏塔殿

(15) チャム=カン(byams khang) = 弥勒殿。ダライラマ六世の時代まではダライラマの居室であったが、ダライラマ八世がパンチェンラマ三世=ペルテンシェーシェーを顕彰して弥勒仏を本尊とする仏殿に代えた。弥勒仏の前の王座は、ダライラマ八世からダライラマ十四世に至るまでが使用した。

(16) ロラン=カン(blos blang khang) = 立体陀羅殿。ダライラマ七世が建立した、『秘密集会タントラ』『勝楽タントラ』『金剛怖畏タントラ』の立体マンダラを祀る。この三つのタントラはゲルク派が、数ある密教教典の中からそれぞれ父タントラ、母タントラ、不二タントラの代表として重んじるタントラである。

(17) サスムナムゲル (sa gsum rnam rgyal) 本尊はダライラマ十三世が建立した千手千眼観音である。ダライラマ七世の王座がある。
 
(18) チメーデデンキル('chi med bde ldan 'khyil) = ダライラマ六世の王座。元はダライラマ六世の居室であったものをダライラマ八世が無量寿仏を本尊とする仏殿に代えた。王座の背後の仏がん内には千体の無量寿仏が安置されている。

(19) ラマ=ラカン (bla ma lha khang) = 御師殿。本尊はゲルク派の開祖ツォンカパである。ほかには歴代ダライラマの像とその前世者の像がならぶ。

(20) セルドン=タシウーバル=カン(gser sdong bkra shis 'od 'bar khang) = ダライラマ七世仏塔殿


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