羽繕いごろうちゃん:「チョルテンとは仏塔を意味するチベット語です。とにかく至るところにあって、チベットの人たちは朝な夕なこのチョルテンのまわりをコルラ (巡拝)するのをならわしにしています。日本仏教で仏塔と言えば、五重塔、五輪塔、卒塔婆などです。これだと墓石かランドマークみたいなイメージありますが、仏教において仏塔のもつ意味はもっと深淵なのですよ。
今回は、このチョルテンのもつ正しい意味を解説してくれるそうです。写真は中国の五台山にあるチベット式仏塔です。ご覧の通り本物のミニチュア・レプリカですが、ママが秩父の両神村にいった時に日中友好博物館とかがあって、その中に入ってみたらこれがあったので感動したそうです。ママは「まさか秩父の山奥でチベットに出会えようとは」とコーフンしていました。
仏塔の歴史はお釈迦様がなくなった頃に遡ります。お釈迦様のご遺体を火葬した後、その遺灰を八つにわけて八大仏塔が建立されました。
そののち、アショーカ王が世にでると、この遺灰を回収して新たに八万四千の仏塔を全世界に建立してそこに遺灰を分骨して納めました。
お釈迦様の遺骨をおさめた仏塔は次第に仏教そのものを象徴するようになってきました。
タイやビルマのパゴダとよばれる仏塔は、その各部分が仏の境地を示す三十七の概念 (三十七菩提分法) を表すようになっています。各位上からこのような概念があたっています。
十力 十智 八正道 七覚支 五力 五根 四神足 四正断 四念処 |
十 + 十 + 八 + 七 + 五 + 五 + 四 + 四 + 四 = 三十七
また、よくできたことには、四正断、四念処、八正道などの四や八つでくくられる概念は、上からみると四角い基盤でつくられており、五根、十力など、五や十でくくられる概念は、上から見ると丸い基盤でつくられていることです。
さらにおもしろいことには、仏塔の基盤に近い部分は、修行階梯において基礎的なものを表し、上に行けばいくほど、その修行の結果得られる境地を表象しているのです。
チベットでは、仏像・仏典・仏塔を、それぞれ仏の体、仏の言葉、仏の心をあらわすものとして、この三つを仏壇に掲げて毎日供養します。仏の体を仏像によってあらわし、仏の言葉を仏典によって表すのは、簡単ですが、仏の心とはすなわち仏様の境地、これを形で示すのはなかなか難しいことです。仏教の基本概念を四角や丸であらわすといった象徴的手法をとったのは、なかなかしゃれた選択だと思いませんか。