ごろうちゃん:「クンサンコルローって、すべての方向においてよいっ、ていう意味で、文字のマンダラみたいなもの。四角い碁盤目の中に文章をいれて、いろんな方向からよんで意味が通るようにしているんだ。もともとはインドの習俗だったんたけど、チベットではこれに仏様や高僧のすばらしさを称える文章をいれて、僧院の壁を飾ったんだ。
碁盤眼の数はたてよこ同じ数につくられている。肝心の読み方は、むろんチベット語の標準的な読み方に従って、左から右、上から下に読んで意味が通じるし、その上、これをたとえば、斜めによんでみたり、周辺をたどってみたりしても意味が通じるようになっているんだ。だから、「すべての方向においていい」わけ。
これを書いた人たちは仏様の境地が、時間・空間をこえてどのような面からみても素晴らしいことを、文字のふつうの読み方をかえても意味がとおることで表現したかったんだと思うよ。
ダライラマ一世のクンサンコルロー
このクンサンコルローは、ダルマリンチェン (1364-1431) が1419年、ツォンカパの亡くなった後、ガンデン寺座主に就任することを祝って、ダライラマ一世ゲンドゥンドゥプ
(1391-1474) が作ったものだ。
読み方は、チベット語の標準的な読み方でもまず通じるし、さらに、画面に薄くのせた青い線を車軸の部分は中心に向かって、周辺の部分は時計回りに読んでも意味が通じる。
中心点には「仏」という言葉があり、この青い線の輪郭を丸くすると「輪」(コルロー)になることに気づいてもらえたかな。