[メインページに戻る]

チベット死者の書

川崎信定訳『チベット死者の書』(ちくま学芸文庫) より


仏教では人は生を終えて次の生を受けるまでの間、49日の間は意識だけのパルド (中陰) という状態にあると考えます。パルドは「死のパルド」「存在本来の姿のパルド」「再生のパルド」の三段階があります。 この意識の旅を、いつものレギュラー陣に加えて、何と今回は、ママの◯回目の誕生日 (6月6日) を記念してCAP!からももちゃんという豪華ゲストを加えて拡大版でおおくりします !  キャストはこの通り。

  死にゆくもの いつかの あ・な・た
  
寂静尊 ごろうちゃん
  
忿怒尊 るり
  ヤマ神(閻魔サマ) ももちゃん(友情出演)


死のパルド

(1) 死

 あなたが死をむかえるとき、肉体を構成する固形状の要素 () は液状の要素 () の中に溶けてゆく。液状の要素は熱分 () の中に、熱分は気体 () の中に、気体は意識 () の中に溶けいってゆく。あなたの肉体は崩壊しつつある。



(2) 死に際して現れる原初の光明

 あなたの息が完全に途絶えた時「原初の光明」があらわれる。この光明こそあなたの中にある仏の境地があらわれたものであり、ここには生もなく死もない。この光明から自身の中にある仏の境地を悟ったならばあなたはただちに輪廻から解脱することができる。



(3) トンネル体験をへて第二の光明

 「原初の光明」で解脱できなかったものには、第二の光明が訪れる。あなたの意識は脈管をとおって体外にぬけだし、明るい道に出たように明晰になる。あなたにはあなたの死体をとりまいて嘆き悲しむ親族の姿がみえるが、親族にはあなたの姿はみえない。今、あなたは完全に肉体を捨てて意識だけの存在 (意成身) となったのだ。



「存在本来の姿」のパルド

(4) 寂静尊の導き

 あなたの意識は混乱をきたし、様々な音・色彩・光に惑乱して一時的に意識を失う。三日半くらい時間がたつと、あなたの意識はふたたび目覚め、中央の世界から毘廬遮那仏が現れてくる。この仏の世界は群青色で手には八輻輪を有している。以下同様に、二日目には白色の東方世界から五鈷杵を手にした阿門仏が、三日目には黄色の南の世界から宝珠を手にした宝生仏が、四日目には赤色の西方世界から蓮華を手にした阿弥陀仏が、五日目には緑色の北方世界から羯磨を手にした不空成就仏が現れる。六日目にはこの五体がそれぞれの世界から一斉にあらわれてあなたを解脱へ誘おうとする。この五体の仏はあなたの意識の深層に潜在する解脱の可能性 (法界体性智・大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智) が仏の姿をかりて現れたものなのである。この五色の光をおそれず敬慕しなければならない。

(5) 忿怒尊の導き

 それでも解脱できなかったあなたの前には、今度はヘールカ (忿怒尊) と呼ばれる恐ろしい姿をした仏たちのヴィジョンがあらわれる。八日目には暗褐色のブッダ=ヘールカが、九日目には青色のヴァジラ=ヘールカが、十日目には暗金色のラトナ=ヘールカが、十一日目には暗赤色のパドマ=ヘールカが、十二日目には暗緑色のカルマ=ヘールカが現れ、十三日目にはこれら五体のヘールカがそろってあらわれてあなたを解脱に誘おうとする。この五尊の忿怒尊はブッダ=仏、ヴァジラ=金剛杵、ラトナ=宝、パドマ=蓮華、カルマ=羯磨金剛という名前が暗示している通り 、前出の寂静尊五尊と本質は同じであり(寂静尊の持ち物を参照) 、やはりあなた自身の深層意識の中の解脱の可能性が忿怒尊の姿をかりてあらわれたものなのである。


(6) ヤマ神の裁き

 それでも覚ることのなかったあなたの前にはとうとうヤマ神 (閻魔サマ) が現れる。ヤマ神は大空のような巨体をもち、眼を水晶のようにかがやかせ、手には死者の生前の善業や悪業を記録した柄杓 (日本でいうところのえんま帳) をもっている。これもあなたの意識のつくりだしたものであるからおそれることはない。実体を持つものではないのである。



再生のパルド

(7) 再生のサイクルへ

 はいっ、ここまできて解脱できなかったあなたには、もう再び輪廻の中にもどって再生する道しか残されてません。あなたの生前の行いが次の生を決めてくれます。その生存領域は大きくいって六つあり、悪いとこからよいほうへ数えあげていけば、地獄・餓鬼・畜生・人・阿修羅・天の六つです。あなたの意識は好むと好まざるとにかかわらず、このいずれかの世界の母胎に宿ってふたたび肉体を受けることになります。ゴ〜ン。


[メインページに戻る]