[戻る]

『チベット伝統医学の薬材研究』

石濱裕美子、西脇正人、福田洋一、谷田伸治

(藝華書院、2015年、定価1,500円+税、ISBN: 4904706102)

ここクリックすると各書店に飛びます。藝華書院紀伊国屋e-honHonya Club

きっとある、きっとある


 チベット医学は、インド(ラダック、ザンスカール、ヒマーチャルプラデーシュ州のヒマラヤ地域、シッキム)、モンゴル、中国(西蔵自治区、青海省、四川省、甘粛省、雲南省内の蔵族自治州・自治県)、ロシアのブリヤート共和国・カルムキア共和国・トバ自治県、ブータンなどのチベット文化の影響を受けた人々の住む地域において、現在も臨床で用いられ、かつ研究されている伝統医学であり、一部のチベット薬は世界市場に進出して一定の評価を得ている。

 チベット医学はインドのアーユルヴェーダ医学や中国の伝統医学の影響を強く受けている。とは言え、その根本に仏教思想を据えていること、チベット高原の豊かな動・植物相は他の医学にない豊富な薬材をチベット医学に提供していることなどから、それら近隣の伝統医学と一線を画していることは明らかである。それにもかかわらず、現在チベットという国が存在しないことから、チベット医学は中国国内においては中国医学の一部として扱われ、また、インドにおいてはアーユルヴェーダの影響を過大視しつつ説かれる傾向がある。そこで本書ではチベット医学のオリジナル性がはっきりとでている薬材に焦点をあて、その味や効能の解釈もチベット医学の古典的な注釈書に基づいて行う事に留意した。

第一章
チベット医学のバイブル『四部医典』の理念と先行研究
第二章
『四部医典』の中から薬材の種別と効能を述べる箇所(第二部19 章から21 章)を和訳
第三章
寺本婉雅が1898 年に入手し日本にもたらしたチベット医学図譜の稀覯本を初出版。本図譜はチベットの医学堂で、医学生に薬材の色や形、採集地を教授するために用いられていた。
第四章
伝統的なチベット語の薬材名の下に、臨床ではどのような動植物・鉱物が用いられているのかを、チベット語の薬材名と14 冊の先行研究から抜き出した学名の対照表によって明らかにした。

[戻る]