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『清朝とチベット仏教 菩薩王となった乾隆帝

(早稲田大学出版部 定価7000円(+税) ISBN:: 978-465711712-0)

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きっとある、きっとある


 前著『チベット仏教世界の歴史的研究』(2001)においては、17世紀から18世紀初頭にかけてチベット・モンゴル・満洲の王侯の間には「仏教に基づく政治」を共通の行動規範とするコミニュケーションの場が存在していたことを、政治史的な側面から明らかにした。十年の月日を経て出版される本書においては、この内でも満洲人に焦点をあて、満洲人皇帝がモンゴル人と競う形でチベット仏教世界に参画し、最盛期の乾隆帝の時代に至って、パンチェンラマを始めとするチベットの高僧たちから菩薩王としてのお墨付きを得るに至るまでの歴史を、僧院・仏塔の建立や転生譜・灌頂などのチベット仏教文化の側面から明らかにしたものである。

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清朝とチベット仏教 (早稲田大学学術叢書) 清朝とチベット仏教 (早稲田大学学術叢書)(2011/09/30)

序論
はじめに
仏教政治という理想の政体
パクパとフビライの事績
チベット語・漢語史料の特性
事例研究の重要性
排すべき予断

第一章 リンデン=ハーン碑文に見るチャハルのチベット仏教
 はじめに リンデン=ハーンの時代
 第一節 リンデン=ハーン碑文
  第一項 碑文の訳註
  第二項 碑文の作文法と修辞法
  第3項 碑文の内容
 第二節 リンデン=ハーン期のチベット仏教
  第一項 チベット史料から見たサキャ派の動向
  第二項 アルタン期とホンタイジ期の仏教との比較
 おわりに チャハルの高度な仏教文化

第2章 盛京・北京の勅建チベット仏教寺院
 はじめに 
 第1節 清初勅建チベット寺の碑文訳注
  第1項 実勝寺碑文訳注
  第2項 護国四塔寺碑文訳注
  第3項 北京一塔二寺の碑文訳注
 第2節 盛京チベット寺に見る清初のチベット仏教
  第1項 建立者ビリクト=ナンソ
  第2項 サキャ派の満洲布教の結晶、実勝寺
  第3項 護国四塔寺に潜む罪業浄化思想
 第3節 北京一塔二寺に見る清初のチベット仏教
  第1項 同時代史料にみる一塔二寺の名称
  第2項 建立者ノムンハン
  第3項 ゲルク派の拠点となった一塔二寺
 おわりに

第3章 モンゴル年代記に直訳引用されたチベットの歴史文献
 はじめに 17世紀の二つのモンゴル年代記
 第1節 モンゴル年代記の資料となったチベットの歴史文献
 第2節 ダライラマ政権の出版事業
 第3節 チベット文史料を見た『アサラクチ』史、孫引きした『アルタン・トプチ』
 おわりに

第4章 17-18世紀のチベット僧院社会の構造
はじめに
第1節 学堂と地域寮によって形成される僧侶の閥
第2節 青海地域の僧院の特徴
第3節 オイラト王侯を施主とした歴代ゴマン座主
 第1項 トルグート人であった29代ゴマン座主
 第2項 ジュンガル王を施主とした32代ゴマン座主
(a) 権力者間の不和の調停
  (b) ダライラマ七世を支持したオイラト王侯との交流
 第3項 ジュンガルの王族であった34代ゴマン座主
おわりに

第5章 北京初のチベット僧院、雍和宮建立の意義
はじめに  
第1節 チベット仏教世界における僧院設立の経緯
 第1項 「ガンデン」を冠するゲルク派の僧院
 第2項 ハルハのガンデンと東チベットのガンデン
第2節 檔案史料に見る雍和宮建立の経緯
 第1項 建立の動機と指導僧の出自
 第2項 四学堂の内訳・学僧の出自・仏像の様式・行事
おわりに チベット僧院としての雍和宮

第6章 北海闡福寺と乾隆帝の白傘蓋仏信仰
 はじめに
 第1節 国家鎮護の寺としての白傘蓋仏殿
  第1項 佛香閣を白傘蓋寺とした場合の問題点
  第2項 白傘蓋信仰のセンターとしての闡福寺
  第3項『陳設档』に見る闡福寺の旧観
  第4項 闡福寺の消滅
 第2節 乾隆帝の白傘蓋信仰
  第1項 雍和宮の白傘蓋仏殿
  第2項 パンチェンラマが勅命によって記した白傘盖儀軌
  第3項 裕陵地宮の白傘蓋真言
おわりに

第7章 乾隆帝に対するチャクラ・サンヴァラ灌頂授与の意義
 はじめに 灌頂とは
 第1節 儀礼の経緯
   第1項 乾隆帝の顕教の学習
  第2項 灌頂が行われた時日
  第3項 造辦処文書に残る法具の発注記録
  第4項 妙應寺白塔に奉納された灌頂の装束
 第2節 チャンキャと乾隆帝が踏まえた歴史的な灌頂
   第1項 パクパがフビライに授けたヘーヴァジラ灌頂
   第2項 ダライラマ3世がアルタン=ハンに授けたヘーヴァジラ灌頂
 第3節 転輪聖王の密教化した尊格としてのチャクラ・サンヴァラ尊
おわりに 乾隆10年チャクラ・サンヴァラ灌頂の歴史的意義

第8章 妙應寺白塔の奉納品に見る乾隆帝のチベット仏教信仰
 はじめに 乾隆18年の白塔修復
第1節 乾隆18年の白塔奉納品のリスト
 第2節 乾隆帝とチャンキャ3世の白塔関連文章
 第3節 チャンキャ二世の著作に見る3種類のスンシュク
  第1項 生命の木
  第2項 真言陀羅尼
  第3項 その他のもの
 第4節 スンシュク(呪物)としての白塔奉納品
 おわりに

第9章 ラマ供養画としての乾隆帝菩薩画像
はじめに
 第1節 乾隆帝菩薩画像の3つの型
  第1項 タイプCの3つのサブグループ
  第2項 全タイプの共通点
  第3項 その他の伝乾隆帝画像
 第2節 画中の諸尊の同定とグルーピング
  第1項 3聖山の主を示したタイプA
  第2項 ラマ供養画像としてのタイプB・C
1 ゲルク派の二つのツォクシン(集会樹)
 2 チャクラ・サンヴァラの衆供養
  3 その他の諸尊
 第3節 画中の諸尊の持つ歴史的・伝統的イメージ
 1 転輪聖王のイメージ
  2 フビライとパクパのイメージ
  3 東方の仏菩薩のイメージ
おわりに

第10章 チャンキャ3世と乾隆帝の転生譜('khrungs rabs)
はじめに パクパとフビライの業績をたどったチャンキャと乾隆帝
第1節  チャンキャ転生譜とその特徴
 第1項 下敷きとなったクントンの転生譜
 第2項 クントンの伝記
 第3項 パンチェンラマ3世による変更点
 第4項 チャンキャ(クントン)の前世者のグルーピング
第2節 乾隆帝の転生譜とその特徴
第3節 パンチェンラマ3世と2つの転生譜の関係
おわりに

まとめ

附録篇
附録1 リンデン=ハーン碑文 (チベット語)
附録2 実勝寺碑文 (漢語・満洲語・チベット語・モンゴル語)
附録3 一塔二寺碑文(漢語・満洲語・モンゴル語)
附録4 盛京と北京の清初チベット寺の現況
附録5 『黄瑠璃史』に基づく上ドカムの寺院データ
附録6 『陳設檔』闡福寺関連資料
附録7 『乾隆10年各作成做活計清檔』灌頂資具関連資料

資料・文献一覧


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