小倉銘菓

　　今日は日曜日だったのに、ママはボクをおいて出かけてしまった。なんでも、小倉にある祖父母の家が明日取り壊されるので、その前に写真を撮りにいくのだそうだ。突然思い立ってでかけたので、往復5万円以上の移動費をかけ日帰り。効率悪いことおびただしいが、そこまでしてもママが帰りたいのは小倉在住の一族がママにとってもっとも安らぐ場だからなのだ。小倉の親戚はみな見事にA型揃いで、全員がウエットで後ろ向き、取り壊す古い家の整理をする際にも、他人からみりゃあほとんどガラクタといったものを「これはああゆう思い出が」「あれはああゆう思い出が」といって捨てられず、4tトラック一杯トランクルームに運んだのだそうな (一方でまだ新しい家電類などは平気で捨てられている)。そうして残ったガラクタ中のガラクタをまたママが拾ってくるのだから、血というものは恐ろしい。東京では一人ぼっちのママも、小倉に帰ると保護色のように溶け込みますね。

　さて、ママは夜遅く帰ってくると「ごろうちゃんおみやげよ〜」と言いつつ、そのガラクタの中のおもちゃをボクの前でフリフリするので無視してやった。すると、こんどは「ごろうちゃん、おともだちよ〜」と言ってボクの側においたのが

　小倉銘菓ひよこ。　「なめとんのかあ」

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