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だけのエンジェル

*1986年の邦画「片翼だけの天使」をパチってますが、内容は一切関係ありません。


いつもよりおなかの羽がうすい・・機嫌もわるい↓

七月八日

朝、ごろうちゃんを椅子の背にとめて、朝のゴミ出しなどをしていた。これは日常のことで、「ごろうちゃんちょっと待っててね」ごろうちゃん「ぐぇっ(訳 ちっ、仕方ねーな)」でおとなしく待っててくれるのである。
 ところがこの日は違った。戻ってきたら床にいたのである。床に降りることは禁止しているので、おかしいと思ってよくみると、右翼の風切り羽が異様に短い。では、飛ぼうとして床に落ちたのか。急いで、籠を確認しにいったら、籠の床に五枚も風切り羽がおちていた。

 ごろうちゃんはとべなくなったことが理解できないらしく、何度も飛んでみては、滑降着陸してショックをあらわにする。それだけならまだしも、ごはんを食べなくなった。午後は仕事で家を出なければならないため、床にペレット、赤穂、枝豆、綿棒そのほか気の紛れそうなものをたくさんいれてでかける。外にいると、飛ぼうとして飛べないと落ち込むのでむしろ籠の中の方がいいかもしれない。

七月九日

昼にまた一枚右翼の羽がおちた。それに、何度も飛ぼうとして失敗してそのたびにものすごく傷ついた顔をしたあげく、今日は完璧にうつのひきこもりである。人間とくらしているせいか、精神まで虚弱になって・・・・。昨日からごはんをたべないので、体に全然はりがない。あまりにも心配なので、北海道の某オカメインコ漫画の大家狭霧家嬢に電話をする。すると、まりりんも風切り羽が三枚抜けて飛べなくなった際、やはり三日ほどはおちこんで食事をしなかったという。いろいろアドヴァイスをしてもらい、〔したことないけど〕子育て中の主婦の情報交換のような安心感をえて電話を切る。

七月十日

仕事にいく際、ごろうちゃんを籠の中にいれる時、いつもなら、幼児を保育園においていくおかあさんなみに後ろ髪ひかれるところだが、ここ数日にかぎってもそれを感じない。なにしろ飛べないので籠に入っていた方が安全である。この三日間ごろうちゃんはこれまでにない抜け羽がでる。ほんの少し羽繕いをするだけで、羽がひらひらと落ち葉のように舞いおち、さらに脂粉もでる。やはり換羽だったのだ。素朴な疑問なのだが、いくら換羽とはいえ飛べなくなる程羽抜けたら、野生だったら死んでしまうだろう。
 そこで、日本野鳥の会に入っている知り合いにその旨聞いてみると、シベリアからの渡り鳥の鴨はやはり換羽の際とべなくなり、茂みにかくれて過ごすうち、狐などにとられるものも多いのだという。オーストラリアきっての強羽インコ、オカメインコも鴨と同じなのだろうか。
 もう一つの可能性としては、ごろうちゃん無精説があげられる。ごろうちゃんは今年六歳であるが、じつはヒナ羽から大人羽になる際に、はでな換羽をやって以来、これまでに本格的な換羽をしたことはない。換羽のシーズンになってもほんの一枚か二枚の羽が五日間続けて抜けたかな? 程度の換羽しかしてこなかったのだ。つまり今回の極端な換羽は、古い羽がいっきに落ちたとも考えられるのである。

 鴨説にせよ、無精説にせよ、ミステリアスな鳥である。

七月十三日

ごろうちゃんが今までにもましてごはんを食べない。とても心配。その上、母の代から使っていた正光の包丁が根元からさびてぱっきりおれる。縁起が悪い。これから羽をつくらなければならないのに、小食では困るので、栄養価の高いミルワームを買いに行く。一度ごろうちゃんが蛾の幼虫をおいしそうに食べていたのをみているので、ミルワームなら食べてくれるかもしれない(ミルワームには悪いが)。結局、ミルワームを威嚇するだけで食べてくれなかった。が、カナリヤシードとふつうごはんを少しずつ食べてくれた。おやすみ、ごろうちゃん。よく眠ってね。

七月十四日

ごろうちゃんは昨日より少しは元気になった。ごはんも食べるし、お水ものむ。昨日元気のなかった理由を考えてみたが、一昨日の夜ごろうちゃんの後ろの窓を開けておいたがあれで体が冷えて体調を崩したのではないか。昨日の晩は扉をしめてねて、今朝は朝からストーブをぼんぼんつけているから、暖かくて元気になったのかも。確かに、今年は七月だというのに寒いが、ごろうもあまりにも虚弱である・・・。

七月十八日

ごろうちゃんの羽繕いをしみじみと見ていたら、右羽のつけねにつくつくと五本の筆毛がでてきているのが見えた!!!!! やっと生えてきた! ごろうちゃんは、ここ数日間、右翼を左翼よりはばたかせることで、かなりの距離を飛べるようにはなってきた。台所からパソコン前の私の頭にも飛んでこれるようになり、座っているわたしからたっている旦那の肩へとか、より高いところにも飛べるようになってきている。こんなに長さの違う羽をなんとかつかって飛ぶのだから、本当に偉大である。

 それから一週間

 ごろうちゃんはあまり飛ぼうとしなくなり、そのかわり、モーレツな食欲をみせはじめた。がんばれ、ごろうちゃん、JALとは違い、鳥の羽は自前どんどん食べてくれ!!

*注→ ここから、BGM平井堅The LIFE is・・をかけてください

↓ 七月三十一日現在、復活しつつある右翼(でも、左より短い)

七月三十日

とび職の少年が地下足袋四足を万引きし、おってきた店長を電柱と車の間にはさんで死亡させ、強盗傷害致死の疑いで捕まった。そんなトホホなニュースを見ながら、お昼ご飯がおわった。そのあと、シンクの生ゴミをすてていたら、ごろうちゃんが突然わたしの肩からとびたって、またワタシの後ろにもどってきた。こういう時、これまでだったら、旋回ができないので机の上におっこちていたところである。なのに、ちゃんと戻れたのだ。本人はそれが嬉しいのかもう一度それをやってみせた。ためしに、本棚の上にのっけてみても、前よりもきれいなはばたき音でワタシの頭に着地してくれる。ここのところぜんぜんとばなくて食べてばかりいたので、すっかり飛ぶ姿と音を忘れていたが、はばたき音も飛び方もかなり前の状態に近い気がする。偉大である。まだほんの少しのびてきただけの風切り羽でここまでスムーズに飛べるとは。恐るべしごろうちゃん。今も肩で羽繕いをしているが、彼の筆毛はどんどん割れて、下から新しい羽が生まれてきている。かれはBrand Newになっていくのだ。かれはフェニックス*である。体育会系である。これからも元気に長生きしてくれ。
 ビバ、ごろうちゃん。

*フェニックスとは、死の間際に火の中に飛び込んで身を焼き、その火の中から再び新しい体となって再生する伝説の鳥。不死鳥と訳す。


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