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カーラチャクラの魔法陣


 このコーナーでは、『カーラチャクラタントラ』の中の「内品」に説かれる魔法陣の一つを紹介してみましょう。

 この魔法陣は正方形で、十六の桝によってしきられています。

 そして、この桝の一つ一つには、以下に見るように、チベット語の単語がひとつずつ書き込まれています。


sa 'dzin
(山)
nyi ma
(太陽)
zla ba
(月)
ma Nu
(人)
mig
(目)
'dod
(欲界)
nor
(宝)
bdag po
(自在天)
rgyal po
(王)
me
(火)
phyogs
(方向)
'byung ba
(元素(大))
bug
(穴)
dus shes
(季節)
tshes shes
(上弦・下弦)
chu gter
(海)


  この意味ありげな単語は、実はすべて数字を表しています。対応する数字をあげて、その理由をみてみましょう。



 インド・チベット文化圏では一つの概念が様々な同義語によって表現されるため、このように普通名詞が数詞を表すことも珍しいことではありません。

 不可解な文章も修辞学を身につけることで意味の通った文章に変換することができるるようになります。つまり、インド・チベット文学を読みとくためにはサンスクリット修辞学の知識を身につけることは必須なのです。

 大変なようでも、この修辞表現を身につけるうちに、仏教やインド思想も自然と身に付いてくるので、一石二鳥でしょう。

 閑話休題。

 次に、この数字を前の言葉の表に代入してみましょう。すると、以下のようになります。


7 12 1 14
2 13 8 11
16 3 10 5
9 6 15 4


 めざとい方はお気づきになったでしょうが、縦・横・斜めいずれをたしても34になっています。

 この魔法陣は妊婦が難産に苦しむ時にお守りとして書かれるものです。

 どなたかためしてみて、効果があるようでしたらご一報ください。


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