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『世界を魅了するチベット』

(三和書籍 定価2100円(税込) ISBN:13: 978-4862510778)

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イギリス最年少の 1907年のノーベル文学賞作家キプリングの代表作『少年キム』は、とにかく面白い。
話しのポイントは、ラホールのストリートチルドレンであった白人少年キムが、チベットからきた僧とともに旅を重ねるうちに成長してく物語。キムはチベット僧を師とも親とも慕うようになり、僧はキムを子供のように愛し導くようになっていく。

 キプリングがこの小説で主に表現しようとしたのは、サイードが言うような「大英帝国の偉大さ」ではなく、東洋思想によって精神的に成長する白人の姿である。 『少年キム』は百年たった今も、まったくその輝きを失っていない。それは今現在、世界中の先進各国のキムが、国を失ったチベット僧と出会い、その教えから気づきを得ているからなのである。

 本書は20世紀初頭の、少年キムから始まり、現在のハリウッド映画に至るまでチベットを扱う様々な文芸作品を通じて、また、チベット文化に開眼した学者や文化人達の姿を通じて、チベット文化の普遍性と欧米社会に与えた善の影響について見ていくものである。

 チベットの文化を知らないままに、「チベットはシャングリラではない」「旧社会は封建社会」などというステロタイプ化した言説に染まっている方には是非お勧めしたい一冊。

■目次
序論 チベット仏教の普遍的性格─モンゴル人・満洲人から西洋人まで
●オリエンタリズム論の浅薄
●モンゴル帝国と満洲帝国のチベット仏教への帰依
●西洋人とチベットとの遭遇

第一部 小説の中のチベット─20世紀前半のチベット・イメージ

 第一章 白人少年とラマ僧の幸せな出会い─『少年キム』─

●キプリングの仏教理解
●黄金郷チベット
●グレート・ゲームとパンディットの献身
●白人少年とラマ僧の幸せな出会い

 第二章  ホームズの臨死体験─『シャーロック・ホームズの帰還』─

●探検家たちの世紀
●スピリチュアリズムの聖地
●ホームズの臨死体験の物語

 第三章  シャングリラ伝説の始まり─『失われた地平線』─

●ヒルトンのシャングリラ
●チベットの隠れ里伝説
●ペロー神父のモデル
●コンウェイは誰なのか

 第四章  ヒッピーのバイブル─『チベットの死者の書』─

●エヴァンス・ベンツの『死者の書』
●アメリカ人と『チベットの死者の書』
●臨死体験と『死者の書』
●現代人の死

第二部 現代欧米社会とチベット仏教

 第五章   伝統と先進のアイコン─ダライ・ラマ十四世

●観音菩薩ダライ・ラマ
●世界を慈しむダライ・ラマ十四世
●ダライ・ラマの三つの立場
●ダライ・ラマに共鳴する国際社会
●知識人たちのチベット

 第六章  現代の「キム」たち

●現代の釈尊伝 ジーナ・ラチェフスキー
●ニューヨークのチベット僧 ロバート・サーマン
●科学と仏教の架け橋となったフランス人 マチウ・リカール
●虚飾の街の求道者 リチャード・ギア

 第七章  「立ち上がれ!」─チベタン・フリーダム・コンサート─

●アダム・ヤウク「菩薩戒」
●チベタン・フリーダム・コンサート
●パティ・スミス「一九五九年」
●U2「ONE」
●ビョーク「独立を宣言せよ!」
●スティング「あなたの愛を送って」
●マドンナ「バカになれ」

 第八章 バーチャル・チベット─映画の中のチベット─

●『ゴールデン・チャイルド』(The Golden Child)一九八六年 米
●『リトル・ブッダ』(Little Buddha)一九九三年 米
●『クンドゥン』(Kundun)一九九七年 米
●『セブン・イヤーズ・イン・チベット』 (Seven Years In Tibet)一九九七年 米
●『シュウシュウの季節』(Xiu Xiu)一九九八年 米
●『風の馬』(Wind Horse)一九九八年 米
●『キャラバン』(Himalaya)一九九九 仏
●『ザ・カップ 夢のアンテナ』(The Cup)一九九九年 豪・ブ
●『バレット・モンク』(Bulletproof Monk)二〇〇三 米
●『二〇一二』(2012)二〇〇九 米
●画面のすみの?チベット?

結論 チベット文化が現代に持つ意味
●西洋とチベットの関係年表
●関連文献


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