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『ダライラマの仏教哲学講義』

(福田洋一訳 大東出版社刊 ISBN4-500-00627-3 定価2500円)


 ダライラマ14世がアメリカのハーバード大学で5日間にわたって行った連続講義の記録。

 この講義でダライラマは仏教の基本思想「四つの聖なる真実」を軸に全仏教哲学を体系的に説明しています。四つの聖なる真実とは、

  1. 輪廻における人生の真実が苦しみであること
  2. その苦しみの根源は自己愛の渇望にあること
  3. しかし、その輪廻の根源を絶ちきれば苦しみも消滅すること
  4. そのための正しい修行の道があること

ここには、人生の真実を観察し、その原因を探り、それを克服するための体系的な実践哲学が示されています。

 さらに、このような実践哲学は「縁起と空」という形而上学に基礎を持っています。縁起と空の関係についての深遠な哲学についても、ダライラマはこの上なく分かりやすく説明しています。ここに説かれるゲルク派の仏教哲学については、本サイトの「チベットの古典に触れよう」コーナーでも扱われています。

 ダライラマの仏教入門を読み終えた人が、さらに深くチベット仏教を知るために最適の本です。



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