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放鳥の儀(付ごろう様とさか)


 一ヶ月前、同僚のA先生が、「今、わたしの研究室に拾ったハトがいるよ」というので、見に行く。バス停のところで見つけたそうで、病院にいったところ、左足と左羽を痛めているとのことで、左羽がダラリとさがり、足はびっこである。これは飛べるようになるのかとても心配。  まだ小鳩のようで、声はピューピューとカワイイ。ヒナの産毛も微妙に残っている。でも人間が怖いので不自由な足で研究室の床を逃げ回っていた。

  次の週、「センセ、一応きいて見ますが、ハトについていたシラミを顕微鏡でみませんか」と誘われた。
もちろん行く。 A先生はどちらかというと理系なので、シラミも拡大してみないと気が済まないのだ。その日、ハトは自力でダンボール箱からでて研究室の床をかけまわっていた。で声はなぜか「ブヒィーブヒィー」となっていた。  声変わりだよ。  そして、それから二週間、ハトは飛行訓練のために先生の自宅へいってしまった。そのうちにハトの足はなおり、部屋の中を五メートルほどは飛べるようになったという。しかし、A先生のご母堂が飛行訓練にいそしむハトのフンチの始末にたえかねて、はやく放鳥しろとせっついたため、6月30日吉日、放鳥の儀を執り行うこととなった。

  儀式の前に先生の研究室にいくと、二週間ぶりにみるハトはもう足を引きずっていないし、声も大人のポッポーになっていて、そして人間になついていた。はじめてハトを手にのせたが、ごろう様にくらべてずっと重いし、体温もアツイ。  でも、あまり人間になついていると放鳥しても戻ってくるのではないか、また、足はなおっているが羽が下がっているので、仲間と行動をともにできるか心配。 で、A先生は近くの大名庭園で放鳥しよう、とおっしゃる。

「そこってハトの群いましたっけ」
A先生「いや、公園の方が気持ちいいし」
A先生のご母堂「靖国神社にもハトの群がいるんですけど、あそこのハトはみな白いので、この子一人黒いといじめられるんじゃないかと心配で」
A先生「あのハトは靖国が儀式用に飼っているんだよ」
「やっぱ拾った場所で、仲間の群に帰すのが王道じゃないですか」
A先生「えー、あんな道ばたで放鳥の義なんてムードがない」
といやがるのを無理矢理説き伏せ、ハトがうずくまっていた場所にいくと、その近くのたてものの屋上にハトの群がいる。
「あの家にたのんで屋上にあがらしててもらって、ハトエサまいて群をあつめてなにげにこの子をまぜちゃおう」
A先生は知らない人の家にいくのがイヤそうだったが、わたしはその一階をノックすると、おじいさんがでてきた。一目みるなりこのおじいさんはハトと人間の境界人であることがわかった。わたしもオカメインコと人間の境界にいるから分かる。  この家の屋上に群れているハトはどうもこのおじいさんがかんでるっぽい。「ハトを群に帰したいんですが」と言うと、じいさん無言でハトを受け取った。たぶんこの人なら、人間界からハト社会へ復帰する橋渡しをしてくれるだろう。  で、A先生がハトと離れるのが寂しいと思っているのではないか、と心配して振り返ると  

A先生「しまったあ、最初からここに連れてくればラクだったー」

最後になりましだか、ごろう様ファンのために、最近抜けたごろう様のトサカの羽をご披露いたします。うちの男前のトサカはなんと七センチも長さがありしまた。
ヲホホホホ、この長さを超えられるオカメインコがいて?






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